学力向上の鍵は家庭学習にあり
◆家で全然勉強しない
わが子に対して「家でもう少し勉強してくれたら・・・」と不満を抱くご両親が多いと思います。指導している私たちもそう思います。でもテストが近づけば子供たちが一番そのことを実感しているのです。親も教師(学校、塾を問わず)も本人も三者がしっかり勉強できたらと考えています。皆がそう望みながら、実行できないのは何故か、それを今回は考えていきたいと思います。
どのような環境におかれていようとも、学習する本人が自覚すべきことであるのは言うまでもありません。これが大前提になるのですが、子供たちにはそれほどの自覚はありません。できたらいいな、という気持ちはあっても、何が何でもとは考えていません。したがって強要すると拒否しますし、まして中学生ともなればその抵抗も強くなり、親も子も不快な思いをすることになります。そして勉強をしない理由として「勉強のやり方がわからない」と言い、親の攻撃をかわそうとします。勉強のやり方は大人の世界での仕事のやり方と同じです。勉強だけに特別なやり方があるわけではありません。日常生活で時間や空間をどのように使えば快適か、社会人となってからは仕事の手順をどう踏んでいけば業績に結びつくか考えることと同じなのです。子供たちはその訓練を学習を通して行っているのです。親は、かつて学校で勉強した先輩であり社会人ですから、的確な助言をしているはずです。しかしそれでも、子供たちの家庭学習の習慣化はなかなか実現しません。
子供たちにはやりたい事がいっぱいあります。しかし時間はあまりないのです。そうした状況の中で効率的に学習を進めていかなければなりません。私たちは学習作業を分析し、勉強を効率よく無理なく進めていくための学習手順を考え出しました。勉強のやり方が自然に身につき、自宅でも学習に取り組めるようにするためです。
◆学習は理解と定着
学習を進めるうえで、解法などを理解するためには参考書か先生が必要です。しかし家庭学習では先生がいませんから、読み取る力がなければ参考書は本棚の飾りになりかねません。ですから、先生なしでも参考書を読み解く力、読解力を身につけられるよう指導していくのが私たちの仕事です。「わかった!こうやるのか」と子供たちが納得しない限り学習意欲は湧きませんから、効率化を考慮に入れながらの指導をしていても、問題の理解に時間をとられてしまうのが現状です。個別に何度も問題を解き、その子がどこで分からなくなってしまうかを探しながら指導するわけです。問題そのものが分からないのではなくて、どこかにその子特有の考え違いがあるのです。それを探して改善しない限り納得はありません。それは時には気の遠くなるような作業です。だからこそ、一歩前進したときの子供たちの輝く瞳は私たちの喜びとなるのです。
理解したことは定着させなければなりません。理解が定着するまでの訓練が必ず必要です。理解に時間をかけた時、定着させるための時間をどうするか、その訓練はどこでするのかが問題になってきます。家庭学習の必要性を私たちは次のように考えました。
◆一人でできるものを訓練する
家庭学習の課題は頭をひねりながらやるものではなく、すでに理解したものを定着させる訓練です。子供たちが学習を進めるうえで一番困るのは、解き方の分からない問題を一人でやらなければいけない状況に陥るときです。それは確かに苦痛でしょう。家庭学習がそうした苦痛を生むものならば、放棄したくなる気持ちは分かります。ですから、家庭学習は予習的要素をなくし、本人のやり易いもの、実行可能なものを選択することが大切です。その配慮が家庭学習の習慣化を実現します。
「できないものを自分で調べて、できるようになってほしい」という親の希望は少しの間脇に置き、まずは家で机に向かうことから始めましょう。その一歩が踏み出せれば、その子の道は広がります。
◆今、家庭学習の習慣化を目指して
定期試験が近づくと指導する者も子供たちも「勉強時間が足りなかった」という実感を持ちます。テスト勉強は時間との戦いで、子供たちの望む成果を実現するためには膨大な時間が必要です。その時間を考えたとき、子供たちは戦意喪失し、戦わずして敗れることになります。その苦汁を、子供たちは何度味わったことか。それを避けたいと、私たちも日々奮闘することになります。テストの点数に関していえば、成果のあった子は難しい問題も投げ出さずに挑んでいき、理解も定着も普段の学習の中でなされています。しかし良い結果の出なかった子の学習を振り返ってみると、普段の学習にずいぶんと手落ちがあります。一言で言えば学習時間が圧倒的に不足しているということです。
つまり、家庭学習をしっかり習慣化させていければ、学校や塾で勉強した内容がしっかり定着し、テストの結果にはっきりと現れるのです。対話をもって家庭学習の大切さを訴え続けていかなければなりません。